2010年1月10日日曜日

UTalk

今日はUTalk@情報学環にいってきやした。
ゲストスピーカーは前田幸男准教授(計量社会分析・政治学)。
研究者になった経緯や、専門である世論調査の方法論についての話を聞いた。

世論調査は基準や比較対象(時系列比較・属性比較)が重要であり、また同一の組織が同一の方法・同一の文言で行わないとほとんど意味がないとのことだった。
特に政党支持に関しては、同時期の世論調査であっても、新聞社によって20%~30%ものひらきが生じてしまうこともあるらしい。そこでは質問や選択肢の有無・数などが関係している。
前田准教授によれば、専門家から見て容易に「誘導している」と判断できる調査はまだいいが、質問の順番の組み方などの文脈によって回答が誘導されてしまうようなケースもあるという。

また、ここ最近の内閣支持率の調査を見ると、支持率は具体的な政策やスキャンダルによっても変化するが、そもそも構造的な要因として「国会閉会中は支持率が安定。予算審議の1月~3月は支持率が落ちやすい」ようだ。まあ、メディアが報道するからね。

世論がメディアによって「形成」されるというのは、別の文脈でも言える。
毎週のようにテレビに政党支持率が出されたりもするが、選挙前以外ではメディアによる野党の報道は少ないため、野党の支持率は変化しない。選挙前以外はたとえ与党の支持率が下落しても、それはそのまま野党第一党の支持率に置き換わっているわけではない。
有権者は選挙を前にしてはじめてA政党とB政党を比較し、政党支持を決めることが多いということのようだ。つまり、A政党が選挙に勝利したとしても、それはA政党の支持率が上昇したときに選挙が行われた結果、勝利したのではない。そうではなくて、支持率はほぼ変わっていない状態で、ある選挙が訪れたことをきっかけとして「A党支持にしよう」と有権者は考え、決めている。


という感じだったかな。

あと個人的には「現在有権者の選好は流動化していて、政治がそれに対応しすぎる状況がある。そんななかで世論調査のメリットはなんなのか。やりすぎないことも重要なのではないか」との質問をした。
前田准教授も世論調査のやりすぎには否定的な意見を示したうえで、「世論調査を特定のイベントの直後に行うため下方バイアスがかかっている」と述べ、世論調査は定期的に行う必要があることを指摘していた。